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268 名前:怪盗キンケドゥ・クリスマス決戦編 六の一投稿日:2006/12/23(土) 02 42 07 ID ??? 次の日の朝。 『本日は午前中は曇り、午後から一部で晴れ間が見えるでしょう。しかしお日様はそう長くは続きません、夕方には雪が降るでしょう。洗濯物を干す際には気をつけてくださいね』 「雪! 雪だってよアル兄ちゃん!」 「やったねシュウト! 約束どおり遊べるよ!」 と喜ぶ者もいれば、 「もう温室でないとダメだなぁ。霜も完全に降りちゃってるし、畑で残ってるのは雪割り草の世話くらいかな」 と考えを巡らす者もいる。 (どんなになっても、この家は平穏だな…) しみじみとシーブックが思っていると、 「少年、食欲がないようだなぁ? ならば小生がいただくぞ!」 「うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ」 「うおおおお、俺の焼きシャケぇ! キラ兄、今日こそはミンチにしてやるッ!」 「落ち着けシン! 俺のニンジンあげるから!」 「ローラ、愛しのローラぁ!」 「君を眺めることしかできない哀れな我々に、君の料理を恵んではもらえんかね」 「不法侵入しておいて何を言うか! キャプテン!」 「了解だ、アムロ」 (…いや、日常がこれだから、ちょっとくらいの異常でも動じなくなってるのかも) そう考えると、揺れている最近の自分は何なのだろう、と思える。 「どうしたんだ、シーブック?」 「シロー兄さん…」 シローが声をかけてくる。不安げである。 シローにしてみれば、先日弟を疑ったという負い目がある。カロッゾパンの状況もあり、弟はストレスをためているだろうと思ったのだ。 「兄さん…匿名リーク、どこから来たのか分からないのか?」 「予想はついてるよ。カロッゾパンとドンキーベーカリーを目の敵にしているところといえば、クロスボーン・パンガードかジュピターくらいのものだ」 「じゃあ…」 「令状がないんだよ」 シローが首を横に振る。 「捜査令状がなきゃ、俺たち警察は動けない。マスコミはそんなのなくても動けるけどな」 「…………」 269 名前:怪盗キンケドゥ・クリスマス決戦編 六の二投稿日:2006/12/23(土) 02 43 31 ID ??? 折しもTVでは新たなニュースを伝えている。 『次のニュースです。いまや怪盗キンケドゥ疑惑により注目されているカロッゾパンですが、クロスボーン・パンガードの元従業員がいることが判明いたしました!』 「!! アンナマリーさん!?」 アンナマリーとザビーネの二人は、元々パンガードのパン職人だ。確かにパンガードとのつながりと言えるかもしれないが… 『カロッゾパン、ドンキーベーカリー、クロスボーン・パンガードは地元パン市場のトップ3です。これら全てに怪盗キンケドゥが関わっているとなれば…』 「な、何言ってるんですか、このキャスター!」 ロランが驚く。拍子に皿を落としそうになり、慌てて掴み直す。 「なんで推測だけでこんなに盛り上がれるんだよ? これっておかしいんじゃないの?」 箸をぴこぴこさせながら、ジュドーが言う。 「……おかしい」 ぽつりとカミーユが呟く。 「どうしたのさ、カミーユ兄貴。珍しくしんみりしちゃって」 ガロードの揶揄に反応することもなく、カミーユは静かに言葉を紡いだ。 「悪意が渦巻いている。この日昇町を包み込むように…」 『今入ってきた情報です。カロッゾパン店長・カロッゾ=ロナ容疑者を暴行罪で現行犯逮捕しました』 全員の動きが凍りついた。 『なんだってー(なんとー)!?』 兄弟の驚きとは無関係に、キャスターはニュースを読み上げる。 『ロナ容疑者はかつてバグ製作に携わった元テロリストです。今回は連続窃盗団キンケドゥ=ナウの重要参考人として、任意同行を求めた際に抵抗、警官三人に全治二週間の骨折を負わせ……』 「カロッゾのおやっさんが!?」 「馬鹿な! そんな先走ったことを!」 『パン業界の闇を象徴するような事実が次々に浮かんできますが、どうでしょう、コメンテーターの…ザザ…』 キャスターが勢い込んで続けようとした矢先、画面にノイズが走る。 270 名前:怪盗キンケドゥ・クリスマス決戦編 六の三投稿日:2006/12/23(土) 02 45 03 ID ??? 「およっ? なんだ、故障か?」 「キラ、すみませんが直してくれませんか」 「うう…じゃあ僕の朝食…」 「分かりました、僕の分を少しあげますから」 とやっていると、パッと画面が正常に写った。しかし今までのニュース番組ではない。 無機質な機械を背景にした、緊急用の画面である。 黒髪長髪で童顔の女性キャスターが、冷たい目をして睨み付けてくる。 「美人だ…」 「すぐにそう見れるお前がうらやましいよ、ウッソ」 「コウ兄さんも素直になればいいんですよ。綺麗なのは綺麗、これでいいじゃないですか」 言い切ったウッソだが、次の瞬間猛烈に後悔することになる。 『緊急ニュースです。低価格を売りにしているジュピター製のパンに、有害成分が含まれていることが判明しました』 『ヒイロぉぉ!!!??』 そう、そこに写っているキャスターは、女装こそしているものの、彼らの兄弟・ヒイロ=ユイその人であった。 髪や顔や体型は化粧その他でごまかせるが、声まではどうにもならない。 「あ、あいつ女装嫌ってたんじゃなかったっけ」 「自制してるんだろう…リリーナ嬢の頼みなら殺人料理も顔色一つ変えず平らげる奴だぞ」 「無理するなって言ったのに…」 画面の中のヒイロは、表情一つ変えずに淡々とニュースを読み上げている。 『ジュピター製のパンを食べ続けた人々が、次々に倒れています』 テノールの声が響くと同時、画面がまたも切り替わる。 モザイクだらけの映像であったが、病院のベッドで苦しんでいるのは間違いなく、 「フォウ!? ロザミィ!!」 「スゥゥテェェラァァァ!?」 「プルにプルツー! お前らまで! …こっちはマシュマーさん!?」 「こ、この金髪、まさかカリス!? 隣はギュネイさんか!?」 「ああっ、カテジナさん! 顔が見えないなんて、カテジナさぁぁん!!」 映像にヒイロの声が被さってくる。 『過去に強化処置を受けた人々はアレルギー症状を出しています。このジュピターアレルギーには年齢によって差があり、未成年は倒れて高熱を発します。成年の場合は…』 と、画面が切り替わる。そこに写っていたのは、 『サンタファラかよっ!?』 シーブックとガロードとジュドーの声がハモった。 モザイクだらけだが、赤白でトナカイソリで各所に大量の鈴をつけているとなれば、誤解のしようもない。 『成年の場合は、テンションが異常なほどに高まり、普段やれないことを躊躇なくやります。いわゆる泥酔状態になります』 それって本当にアレルギーなのか、とつっこむ人間はいなかった。 271 名前:怪盗キンケドゥ・クリスマス決戦編 六の四投稿日:2006/12/23(土) 02 46 18 ID ??? 「そうか…昼からファラ先生が外回りだったのも、サンタコスチュームでトナカイソリ走らせてたのも…」 「全部ジュピターパンのせいってわけか…」 「つまり俺達のギロチンの恨みは…」 「ジュピターにぶつけりゃいいってことだな…?」 「やるか、弟よ」 「やりましょう、兄さん」 「まてお前ら。相手は一企業だぞ!」 「けどさ、シロー兄貴…」 『この件に関してジュピターに問い合わせてみましたが、担当者の不在を理由に、コメントを得ることは出来ませんでした』 「そりゃそうだろ、不祥事をあっさり認めることはしないって」 うんうん、とガロードが悟ったように頷く。 「ステラ…ジュピターめ、絶対に許さない…!」 シンの右手が真っ赤に燃えているのを、兄弟の誰もが見た…ような気がした。 『引き続き調査する方針です。以上、プリベンターからお伝えしました』 画面が元のニュース番組に戻った。 ぽかんとしていたキャスターは、慌てて話題をキンケドゥ疑惑に戻そうとするが、時間が押しているために締めるしかない。 ヒイロ、いやプリベンターの緊急ニュースは、ここまで計算していたのだろう。 「……ジュピターのパンは買うな。うちに強化人間はいないが、悪い影響がないとも限らん」 「大丈夫ですよ、アムロ兄さん。うちはカロッゾパンとドンキーベーカリーからしかもらってません」 「買ってもいないんだよな、ロランは」 「それと!」 アムロが立ち上がり、兄弟を見回す。場が、しんと静まり返った。 こういうときは、誰もが口を閉ざし、長男の言葉を待つのである。 兄弟ではないギンガナムも、場の空気を感じ取り、居住まいを正した。 変態二人は…ミンチになっているので問題外である。 272 名前:怪盗キンケドゥ・クリスマス決戦編 六の五投稿日:2006/12/23(土) 02 47 06 ID ??? 「みんな、友人や恋人がジュピターパンにやられて、腹が立っていると思う。だが、ジュピターに殴りこみに行こうとは思うな」 「なんでだよ、アムロ兄!」 シンが真っ先に抗議する。ステラの苦しんでいる姿が頭から離れないのだ。 「シン、落ち着け。MSを持ち出して攻撃したら、俺達の方が犯罪者になるんだ」 シローが諭す。警察として、法の内にある者として、言わなければいけないことだった。 「だけど、あいつらステラを!」 「怒りは分かる。ジュピターが悪いのもな。だが、だからって殴りこみが正しいとは言えない。何のために法律や警察があると思ってる?」 「だからって、合法的手段じゃ遅いこともある!」 シーブックが立ち上がって叫んだ。 全員の視線がシーブックに集まる。ばつが悪くなったシーブック、頭を掻いて椅子に座る。 「確かに遅いこともあるが…」 「じゃあ駄目じゃないか! ステラはこうしているうちにも苦しんでるんだぞ!?」 「だからってジュピターを攻撃して、何になる」 静かに言ったのはカミーユだった。 全員が驚いた。こういう話になれば、真っ先に過激派になるのはシンとカミーユである。なのに今のカミーユはどうだろう。 「アレルギーを治すのは、医者と、彼女達の力だ。ジュピターを攻撃している時間があったら、彼女たちについて、励ますのが第一だろ」 「か、カミーユ兄…」 「ジュピターへの断罪は、シロー兄さんに任せようぜ。俺達は、彼女達を支える。ステラちゃんのこと好きなんだろう?」 「も、もちろんだ!」 「なら、ステラちゃんが苦しんでるとき、お前はどこにいる気だ?」 「お、俺は…」 シンは面食らっていた。まさかカミーユに諭される日が来るとは思わなかったのである。 それに、自分が目先の怒りにとらわれ、ステラを一人にしてしまいそうだったことに気付く。 アムロはそれを見て頷く。まさかカミーユが、とも思ったが、弟が成長していることは素直に認めようとも思う。 「カミーユの言うとおりだ。特に企業の被害者には、世間からの目が厳しい。みんな、ちゃんと支えてやるんだぞ」 『はい(うむ)!』 link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ カロッゾ・ロナ ガンダム一家 ガンダム家 キンケドゥ・ナウ シーブック・アノー ジュピター ヒイロ・ユイ 怪盗キンケドゥ クリスマス決戦編 長編
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とある喫茶店の一日 アイナ「あった、ここが待ち合わせ場所の喫茶店ね」 シローとデートの約束をしていたアイナは喫茶店に入る マスター「いらっしゃいませ、お一人ですか?」 アイナ「あ、いえ、予約していたア…シロー・アマダ・Gです」 マスター「お待ちしておりました。奥の左側が予約席でございます」 アイナ「わかりました」 開店早々のため、人はおらず、閑散とした店内 アイナは予約席へと向かうと隣とその奥も予約席なことに気がつく 予約席へと座ったアイナが窓の外を見た瞬間、店に新たな客が来る バーニィ「ここだな…クリスは…まだみたいだ」 マスター「いらっしゃいませ、お一人様でしょうか?」 バーニィ「あ、いえ、予約していたバーナード・ワイズマンです」 マスター「お待ちしておりました。奥の真ん中の席です」 バーニィ「あ、わかりました」 アイナ「あれ…あの人はたしかバーニィ君ね」 バーニィ「あ、アイナさんですよね?こんにちは」 アイナ「もしかして、クリスさんとデートかしら?」 バーニィ「え、ええ。アイナさんはシローさんとですか?」 アイナ「そうよ。あ、シローが来たみたい…」 シロー「あちゃあ…アイナが先に来ていたよ…」 クリス「バーニィも来ていたみたいね」 アイナ「珍しいわね。デート先が被るなんて」 クリス「そうね、こうなるとデートって感じはしないかしら」 シロー「お、奥も予約席なんだ…まさか更に知り合いが来たりしてな」 バーニィ「まさかぁ、そんな都合がいいことなんて…誰か来ましたね」 シーブック「セシリー、ここが人も少なくて穴場の喫茶店だよ」 セシリー「へぇ…確かに穴場って感じね…え?」 六人「あぁぁぁぁぁ!!!」 シロー「いやぁ…偶然てのは重なるもんだね」 シーブック「まさか兄さんまでここに来るとは…」 クリス「来る時に道が被らなかったのが奇跡ね…」 バーニィ「こうなるとデートする気にはなれないなぁ…」 アイナ「そうね…せっかくだからみんなで話しませんか?」 セシリー「皆さんから恋愛のコツとか習いたいです」 こうしてとある喫茶店では閉店まで互いの話が続いたという もちろん会計は全てシロー持ちになったのは言うまでもない
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776 名前:通常の名無しさんの3倍 :2012/09/25(火) 03 18 07.06 ID ??? シーブック「どうして海賊なんてする気になったんだ?アセム兄さん」 アセム「俺には何にもないんだ…… ゼハートはあんなにも楽しくボケ倒してるのに、俺には刹那みたいにボケるスキルも シンみたいにツッコミ続ける力もない!ならせめて、宇宙海賊でもして黒歴史をつくるぐらいしかないじゃないか!!」
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322 名前:コウの一番長い日 1/3投稿日:2006/01/30(月) 22 06 00 ID ??? 金曜日の夕食時。 和気藹々とロランの作ったご飯に箸をつけたところで、アムロは切り出す。 アムロ「実は明日からしばらく出張する事になった。留守の間、家を頼んだぞシロー」 シロー「ごめん、明日からゲンガナムに式典警護の応援に行くからしばらく帰れないんだ。ドモン、弟達を頼む」 ドモン「言ってなかったか? 明日からガンダムファイトに出るためしばらく帰ってこれない」 アムロ「そうか。じゃあコウ、俺達が留守の間はお前がしっかりみんなの面倒見ろよ」 コウ「えー! 僕が!?」 シロー「当たり前だろ、四男なんだから俺達がいない間はお前が一家の柱だ。 もう19歳だろ、来年には成人して税金だって払う身なんだ、それくらいやってみせろ」 シロー「でもそんな、急に言われても……それに税金ったってドモン兄さんとかちゃんと払ってるの?」 ドモン「ファイトマネーから年金だのなんだのとちゃんと払ってから家に入れている」 アムロ「という訳だ。数日とはいえお前が一家のお兄さんになるんだから、しっかりやれよ」 シロー「シーブックやロランの方がしっかりしてそうだが、一応お前が年長者だしな」 ドモン「お前ももう少し兄として頼りがいのある男になれ」 とは言っても、兄3人に比べたらコウは軟弱者である。 問題児の多い弟達の面倒をしっかり見れるのだろうか?(無理無理) それと来年から税金払えって言われても大学生だから就職はまだ先だし、ラグビーもあるし、まともな恋もしたいし、 MS関連の本を読んだりガンプラ作ったりする心のオアシスを削ってまでアルバイトをしなければならないのか。 TVではアルが楽しみにしている『ドラ○もん』のアニメが流れていた、前世紀から続いている人気アニメだ。 コウ「……いっそ『ドラ○もん』や『サ○エさん』みたく永遠に一年が繰り返せばいいのに……」 ジュドー「アニメじゃないんだからそんな事ある訳ないだろ」 さっそく先行き不安になる兄と弟達であった。 323 名前:コウの一番長い日 2/3投稿日:2006/01/30(月) 22 06 49 ID ??? 翌日の朝、平和な朝食を終えたアムロ、シロー、ドモンはさっそく出発した。 ちなみにアムロはキャプテンを連れて出張に出かけた。 聞けばシャアのジオニック社や他企業のモビルシチズンと競い合わせるらしい。 という訳でアムロが帰ってくるまでの間、コウより頼りになるキャプテンも留守となってしまった。 ロランは久々に家事を全部受け持つ事になったが、嫌な顔ひとつしない。 それを見てコウは自分の器の小ささを知りますます自信を無くすのだった。 鬱屈な気分で土曜日の午前を過ごしていると、ぷるぷるぷる~と電話が鳴った。 コウ「もしもし」 シーマ『その声はコウだね』 コウ「ゲッ……シーマさん」 シーマ『おやおや、歓迎されてないようだねぇ』 コウ「あっ、いえ、そういう訳では……」 シーマ『しけた声してるねぇ。せっかくの週末なんだから、あたしとドライブにでも行かないかい? 泊りがけでさ』 コウ「ええっ!?」 シーマ『嫌とは言わせないよ。それともあたしより大事な用事でもあるのかい?』 コウ「それは、あー……あります!」 シーマ『……へえ、そりゃいったい何だい。言ってごらん!』 コウ「そ、その……実はアムロ兄さんとシロー兄さんとドモン兄さんが今日から数日留守する事になって、 そうなると四男の僕が家族を守らなけりゃならない訳で……」 シーマ『あんたが? アハハッ、兄貴三人がいなくなっても、あんたより頼りになる弟なんていくらでもいるだろう!』 コウ「あうっ……そ、そうなんですけど……」 324 名前:コウの一番長い日 3/3投稿日:2006/01/30(月) 22 07 56 ID ??? シーマ『高級旅館の予約も取ってんだよ! フグやアワビといった海の幸で舌鼓を打った後に、 海の見える露天風呂に入って日本酒を飲むなんて贅沢、お前の所の家計じゃできないだろ? あたしが贅沢させてやろうって言ってんだ、たまにはあたしと羽を伸ばしな!』 コウ「た、確かにうちじゃそんな贅沢できないし……頼りにならないっていうのも事実かもしれないけど……。 ……それでも、兄さん達から家族を任されたんだ! それを裏切るなんてできないっ……」 シーマ『…………』 コウ「だからごめんなさい。せめて兄さん達の誰かが帰ってくるまでは、僕……」 シーマ『分かった分かった、今回はあきらめるとするよ』 コウ「ほ、本当ですか!?」 シーマ『その代わり、兄貴達が帰って来たらあたしと楽し~いドライブに付き合ってもらうからね!』 コウ「そ、その話はまた今度ゆっくり……」 シーマ『それじゃまた電話するよ』 コウ「は、はは……それでは」 電話を切ってホッと一息つくコウ。しかし不思議と笑みがこぼれた。 コウ「そうなんだよな……今は僕が一番の年長者なんだ。しっかりしないと」 シーマの誘いを断る口実として『家族を任されたんだ!』と言ってしまったが、 いざ口に出してみると、心の奥底に勇気の炎が灯ったように思えた。 コウ「よぉし! 一家の兄として家族を引っ張っていくぞぉ~!」 カミーユ「兄貴らしい事をしたい? だったらデート代でもくださいよ」 シーブック「兄らしい事をしたい? とはいっても、特に困ってる事は無いし……」 ロラン「お兄さんらしい事を? それじゃあアルの見本になるために嫌いなニンジンも残さず食べてください」 キラ「お兄さんらしい事をしたい? フレイを何とかして」 シン「兄貴らしい事をしたい? キラをミンチにしてよ、何度戦ってもセイフティーシャッターとかで……」 ヒイロ「俺は兄に任務を与える権限を持っていない、自分の事は自分でやる」 ガロード「小遣い(ry」 ジュドー「小遣い(ry」 ウッソ「お姉さん(ry」 アル「ザクと全力で戦った上で負けて欲しいな」 コウ「……挫折していいですかorz」 続く。 330 名前:コウの一番長い日 4/7投稿日:2006/02/01(水) 21 48 47 ID ??? コウは挫折気味のまま自室にこもっていた。 何とか兄の威厳を取り戻したいとコウは考える。 取り戻すほどの威厳など最初から持っていない事には気づいてない。 コウ「僕が自慢できるような事……ラグビー……は、みんな興味無いし……。 ガンプラ……みんな本物の方がいいって言ってるし、いい歳してオモチャを……って言われてるし。 うぅ~ん……他には、そうだ、ガンダムの操縦だ! 純粋な操縦技術じゃアムロ兄さんにはかなわないけど、機体の性能を引き出すのは得意だし、 デンドロビウムみたいな複雑な機体も自在に動かせるんだ! 弟達にMSの腕を見せれば……でもどういう状況で見せればいいんだろう。 やっぱりMSで格好よくズガーン、ドバーンと戦って……誰と戦うのさ」 ~妄想開始~妄想開始~妄想開始~ ギンガナム「このターンXすごいよ、さすがターンAのお兄さん」 カミーユ「うわぁ、駄目だターンXがすごく強くて勝てないぞ」 シーブック「アムロ兄さんやドモン兄さんがいてくれたら……」 ロラン「ターンAでも勝てないなんて、アムロ兄さん助けてー」 ??「ギンガナム! 俺の可愛い弟達に乱暴は許さん!!」 キラ「あれはアムロ兄さんのRX-78?」 シン「いや違う、あれはコウ兄さんのGP-01だー」 ギンガナム「来たかガンダム兄弟のお兄さん!」 コウ「人が安心して朝食を食べるためには!」 ギンガナム「月光蝶である!」 コウ「ぎゃー」 ギンガナム「ふはははは! それでは今日も朝食はいただいていくのである!」 ヒイロ「(コウ兄さんの)任務失敗……自爆するか?」 ガロード「大破したGP-01、ジャンクにしていい?」 ジュドー「売れるのか? こんなポンコツ」 ウッソ「100円くらいで売れるんじゃないの?」 アル「やっぱりガンダムよりザクだね!」 ~妄想終了~妄想終了~妄想終了~ 331 名前:コウの一番長い日 5/7投稿日:2006/02/01(水) 21 50 30 ID ??? コウ「……………………い、いや違う! 今のは相手が強すぎたんだ、ターンXに勝てるMSなんてターンAくらいじゃないか! 今度は別の相手、別のシチュエーションで……」 ~妄想開始~妄想開始~妄想開始~ 東方不敗「それでもドモンの弟かぁー! 貴様らは馬鹿弟子以下なのかー!」 コウ「待てーい! 弟達をいじめる奴は……」 東方不敗「ダークネスフィンガー!」 コウ「ぎゃー」 ~妄想終了~妄想終了~妄想終了~ コウ「いやいやいやいや、だから相手が強すぎるって! もっとこう、やられ役というかかませ犬的な……」 ~妄想開始~妄想開始~妄想開始~ コウ「シャア! 何でロランをさらおうとする。 これでは一家のお母さん役がいなくなってご飯が美味しくなくなる。胃袋に冬が来るぞ」 シャア「私、シャア・アズナブルがロランのご飯を食べようというのだ、コウ」 コウ「エゴだよそれは!」 シャア「私の胃袋が持たん時が来ているのだ」 コウ「サーベルのパワーが負けている? ええーい。……なんと!」 シャア「コウ!」 コウ「お前がいなければ。シャ、シャア!」 シャア「うおーっ」 コウ「モニターが、死ぬ?」 ・ ・ ・ ローラ「二人とも、私のために争わないでー」 ローラは囚われのお姫様的ドレスで鎖に繋がれ、微妙にドレスがはだけていた。 ~妄想終了~妄想終了~妄想終了~ 332 名前:コウの一番長い日 6/7投稿日:2006/02/01(水) 21 51 23 ID ??? コウ「うぐっ、妄想の中で負けそうだったから軌道修正しようとしたら、なぜロランが……。 ああっ! こんないけない妄想をしてしまう僕はお兄さん失格だ! だいたい相手を変態にしたのがマズかった。もっとまともな相手を……というか、弟に僕の力を見せるのが大事。 という事は……こうか? これがBEST……最高のシチュエーション……!!」 ~妄想開始~妄想開始~妄想開始~ カミーユ「シーブックのあほー」 シーブック「カミーユのばかー」 ロラン「喧嘩はやめてー」 コウ「お兄さん登場!」 キラ「やめてよねー本気で喧嘩したらコウ兄さんにかなうはずないじゃないかー」 シン「あんたはいったい何なんだー」 コウ「お兄さんさ! ええい、ビームライフル。ずきゅーん」 ガロード「ひゃあ。サテライトキャノンを押し返された」 ジュドー「なんて強いんだコウ兄さんは」 コウ「ははは。これからもお兄さんを敬いなさい」 ウッソ「すごいですよコウ兄さん」 アル「やっぱりザクなんかよりガンダムの方が100倍格好いーや」 ~妄想終了~妄想終了~妄想終了~ コウ「……………………………………ありえなさすぎる。 僕に弟達の兄弟喧嘩を止める実力なんて無いし、GP-01の性能じゃ無理orz」 コウが寂しい妄想にふけっている頃、弟達は……!! 333 名前:コウの一番長い日 7/7投稿日:2006/02/01(水) 21 52 27 ID ??? カミーユ「目玉焼きか……納豆と生卵を混ぜた方がよかったな」 シーブック「納豆ー!」シャカシャカシャカシャカ…… ロラン「かき混ぜすぎですよシーブック兄さん!」 キラ「目玉焼きにソースどばどば」 シン「あんたの舌は何なんだー」 ガロード「ご飯おかわりー」 ジュドー「今日の味噌汁、濃くないか?」 ウッソ「アル、ニンジンちゃんと食べなよ」 アル「えー、やだー」 カミーユ「……ん? 何か忘れてるような」 シーブック「そういえば今日はギンガナムが来なかったな」 ロラン「ギンガナムさんはシロー兄さんと一緒にゲンガナムにいますよ。式典の警護だとか……」 キラ「誰か足りないと思ったらギンガナムだったのか。通りで今日は平和すぎた訳だ」 シン「だったら俺の分のおかずまで食べるなー!」 ガロード「あれ? 昼飯、一人分余ってね?」 ジュドー「急に三人もいなくなったらロランが間違えたんだろ。おかわり代わりに食っていいか?」 ウッソ「あっ、僕も食べる。目玉焼きはやっぱり塩だね」 アル「から揚げもーらいっ」 コウの昼食は全滅した! 続く。 337 名前:コウの一番長い日 8/11投稿日:2006/02/04(土) 00 16 47 ID ??? コウは挫折気味のまま遅い昼食を食べ終えた。メニューはパンとサラダだけ。 あまりの貧しさに涙ぐみながら、リビングでテレビをぼんやり見ているとキッチンから声が。 ロラン「あっ」 コウ「ん……どうした?」 ロラン「コーラが切れちゃってて……そろそろ三時のおやつだし、買ってこないと」 コウ「コーラか……お茶派の僕には、いや、僕が買ってくるよ」 ロラン「え、いいんですか?」 コウ「こういう時はお兄ちゃんに任せなさい!」 ロラン「助かります。レシート、忘れずもらってきてくださいね。後で代金を払いますから」 コウ「お兄ちゃんが代金を誤魔化すような事をすると思うか?」 ロラン「それもそうですね、ジュドーやガロードがよくやるのでつい……。それじゃお願いしますね」 たかがコーラ数本買いに行くだけ。ある意味パシリや子供のお使いに思えなくもない。 しかしコウは兄として家族の役に立てると純粋に喜び、スキップしたい気持ちを抑えながらコンビニへ向かった。 コウ「コーラが無かったら喧嘩が起きるだろうし、それを未然に防ぐため買い物に行くお兄ちゃん。うん、格好いいぞ。 あんまり大事件が起きても困るけど、これくらいの事なら起きてもむしろ嬉しいかも……なんちゃって」 満面の笑みでコウはコーラを買い、おまけとして弟達のためにクッキーを一箱自腹で購入し、 自分の(コーラの)帰りを待つ家族の下へと帰宅した。 コウ「ただいま~」 カミーユ「女みたいな名前で悪いかよ!」 シーブック「なんとぉー!」 ロラン「みんなー! 喧嘩はやめてください!!」 キラ「やめてよね、本気で喧嘩をしたらシンが僕にかなうはずないだろ」 シン「あんたはいったい何なんだー!」 ヒイロ「俺はあと何回兄弟の尻拭いをしたらいいんだ……」 ガロード「お前らみたいに浮気しまくるような奴と兄弟やってると俺まで同類に思われるんだよ!」 ジュドー「あんたの存在そのものが鬱陶しいんだよ!」 ウッソ「おかしいですよ兄さん達!」 アル「ガンダムなんかキャプテン以外みーんなミンチより酷くなっちゃえー!」 338 名前:コウの一番長い日 9/11投稿日:2006/02/04(土) 00 17 42 ID ??? コウ「……あれぇ? ちょっ、何? ろ、ロラン!?」 ロラン「コウ兄さん! 大変です、些細な事から喧嘩が始まってエスカレートして、兄弟全員を巻き込んでしまって……」 コウ「いきなり手に負えなさそうな事態がぁぁぁっ!! 喧嘩の原因はいったい何なんだ!?」 ロラン「分かりませんよぉ! 僕はおやつの用意をしていて、騒ぎ声が大きくなったと思ったらもう手がつけられなくて」 コウ「くっ……それでも俺は、一家の四男なんだ! みんなー、喧嘩はやめろぉー! 今まで兄弟仲良くやってきたじゃないか、何が原因かは知らないけど……」 カミーユ「そんな弟、修正してやる!」 シーブック「兄弟の都合だけで修正されてたまるか!」 キラ「僕は今泣いているんだうあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ」 シン「はは……やった、やったよマユ……」 ヒイロ「全てが狂っているのなら、俺は自分を信じて戦う」 ガロード「これが……貴様達の求めていた喧嘩か!」 ジュドー「大人はいきなり人を殴っていいのか!?」 ウッソ「そんなの汚い、卑怯ですよ! 消えてください!」 アル「嘘だぁー!」 コウ「ねぇ……お願いだから聞いてよ。喧嘩はやめ……ちょっ、カミーユ、空手自慢はその辺に……はぐぁっ!? し、シーブック。シーブック!? 質量のある残像を生身で……どれが本物だ!? キラとシン! 二人とも目がいっちゃってるよ!? そして動きが超人的にー!? ヒイロー! 自爆装置を押すんじゃない! ガロード、月はまだ出てないから天井に穴を開けようとするな! ジュドーは殴り返すんじゃない! カミーユ、自分から仕掛けといて暴力はよくないって……ぐおわっ!? う……ウッソ、そんな事をスペシャルにやるんじゃない……スペシャルな喧嘩はよくな……げはっ! あ……アル……。どうして喧嘩に参加してない僕のガンプラをミンチより酷くしているんだ……ガクッ」 ロラン「コウ兄さーん!」 339 名前:コウの一番長い日 10/11投稿日:2006/02/04(土) 00 18 38 ID ??? しばらくしてコウはソファーの上で目覚めた。 ジュドーとガロードがゴミ捨て場から拾ってきて修理したソファーで、思いのほか使い心地がよく好評だった。 最初に座ったのはアムロ兄さんだったとコウは思い出す。 仕事帰りの疲れたアムロに「さあどうぞ」と。 何気ない日常に散りばめられた宝石のような思い出。 その時の兄弟の笑顔の中に、コウの笑顔もあった。 コウ「うっ……」 ロラン「よかった、気づきましたか?」 コウ「ロラン? 僕は」 ロラン「喧嘩に巻き込まれて頭を打って気絶していたんです」 コウ「……皆は?」 ロラン「ガンダムに乗って……出て行ってしまいました。アルはザクがどうのと言ってたのできっとバーニィさんの所に」 コウ「……アムロ兄さん達がいない時に、一家離散の危機か……」 ロラン「大丈夫ですよ。今までだっていっぱい兄弟喧嘩して、仲直りしてきたじゃないですか」 コウ「そうだな……。兄さん達が帰ってきたら、きっと上手く収めてくれるかな」 ロラン「……兄さん達はコウ兄さんを信頼しているから家を任せてお仕事に行けたんですよ」 コウ「ン……そうかな?」 ロラン「そうですよ。僕だってコウ兄さんを信頼してるんですから、シャキっとしてくださいよ」 コウ「……うん、そうしないとな。ほんの数日だけど、今は僕が一番上のお兄さんなんだから」 コウは今、兄弟愛の素晴らしさを実感していた。今までだって色々あったけどみんな元気に暮らしてきたんだ。 この世にたった14人きりの兄弟なんだから(多いよ)仲良くしなくては! コウ「よし、みんなを何が何でも仲直りさせてやる」 ロラン「頑張ってください」 その時、点けっぱなしだったテレビの映像が突然切り替わった。 340 名前:コウの一番長い日 11/11投稿日:2006/02/04(土) 00 19 22 ID ??? TV『臨時ニュースです。アクシズの核ノズルが暴走し地球圏への落下を始めました。 近隣にいたラーカイラム社とジオニック社の民間MSが救助に行った模様です。 この勇敢な民間パイロット達の安否が気遣われています』 コウ「ちょっ……νガンダムとサザビーの映像が映ったぞ今! アクシズに向かってた!」 ロラン「アムロ兄さぁぁぁん!? 一家の柱が崩れたらもう我が家はおしまいだーっ!!」 コウ「さっきの信頼しているってのは嘘!?」 TV『続いてガンダムファイト開会式を暴走したデビルガンダムが襲撃しました。 ガンダムファイター総出でデビルガンダム討伐に向かっておりますが、被害は甚大です』 コウ「ちょっ……ゴッドガンダムと他シャッフル同盟の四機がデビルガンダムに押し潰されたシーンが……」 ロラン「ドモン兄さぁぁぁぁぁぁんっ!? 頼れる人が根こそぎいなくなってしまうー!」 コウ「落ち着けロラン、まだシロー兄さんが無事だ! っていうかやっぱり僕は頼られてない!?」 TV『続いて月の白の宮殿で行われた式典をテロリストが襲撃。 月の女王ディアナ・ソレル様をはじめ、多くの要人と一部警察官を人質に立てこもっております』 コウ「ちょっ……大破したEz-8が、っていうかテロリストに銃を突きつけられた人質の映像がシロー兄さん!?」 ロラン「ディアナ様ぁぁぁぁぁぁっ!! うっ、急にめまいが……バタンキュー」 コウ「ロラン!? ロラーン! シロー兄さんよりディアナ様の方が大事なのかー!! っていうかアムロ兄さん達が大ピンチで、ロランは倒れて、他の弟達は家出して……。 俺はいったいどうしたらいいんだぁー!!」 どう見てもどうしょうもありません。 本当にありがとうございました。 続く。 347 名前:コウの一番長い日 12/18投稿日:2006/02/06(月) 23 21 07 ID ??? TV『現場からの中継です。 ディアナ親衛隊、ギンガナム艦隊、地球連邦、警察の警備の穴を突いたテロリストの襲撃から、 内部に協力者がいる可能性も示唆されています。あっ! テロリストのMSが親衛隊と戦っています! ゴールドスモーとテロリストのMS……ガンダムタイプのMSと空中戦をしております! さすが親衛隊、素早い動きで翻弄……ああっ! ミサイルがスモーに直撃しました! テロリストが散布したと思われるミノフスキー粒子の中、誘導弾のように追尾したように見えます!?』 ギンガナム『おのぉぉぉれぇっ!! ファンネルミサイルとは小癪な真似を!!』 TV『ああっ! ギム・ギンガナム御大将が刀を持って突撃して……落ちてきた瓦礫に頭をぶつけて倒れました! 部下の方々がギンガナム御大将の救助に向かっております! テロリストのガンダムは依然として戦闘中! 警察の陸戦ガンダムを次々と……』 テレビが新たな情報を告げる中、コウはロランをソファーに寝かせていた。 兄とディアナ様の身に起こった出来事がよほどショックだったらしくうなされている。 コウは頭を抱えた、これからいったいどうすればいいんだと考えると胸が苦しい。 兄達がいなくなってしまったら、食費だの土地の税金だのどうやって払っていくのだ。 一家離散――最悪の展開が頭をよぎる。 しかし、とコウは思う。 バイタリティあふれる弟達なら、一人でも生きていけるだろう。 彼女の家にお世話になるような弟もいるかもしれない。 ロランなどは某御曹司の魔の手が伸びるだろうが、ハイム家で住み込みで働けば問題無いだろう。 アルは……クリスが面倒を見てくれそうだ。兄達と喧嘩をしてマッケンジー宅に数日泊まった事もある。 コウ「……兄さん……早く帰ってきてよ、無事に……」 重苦しい空気の中、唐突に能天気な響きが鳴った。 電話『ぷるぷるぷるぷる~♪』 すがるような気持ちでコウは電話に飛びつく。 348 名前:コウの一番長い日 13/18投稿日:2006/02/06(月) 23 22 49 ID ??? コウ「もっ、もしもし!?」 ブライト『コウ君か? ブライトだが……』 コウ「ブライトさん!? あっ、アムロ兄さんはどうなんですか!? 無事ですよね!?」 ブライト『ニュースを見たのか? 実はこちらもあまり状況が掴めなくてな』 コウ「そんなっ……!」 ブライト『俺は本社にいるから連絡待ちだ。向こうにはあとアストナージがいる……さっき電話があった。 ケーラとキャプテンもアムロと一緒にアクシズへ向かったという程度しか……』 コウ「アムロ兄さんは大丈夫ですよね? ねえっ、ブライトさん!」 ブライト『……νガンダムの整備は完璧だとアストナージは言っていた』 コウ「じゃあ!」 ブライト『しかし……最悪の事態は覚悟しておいてくれ。今は君がお兄さんなんだから、 弟達の支えになってやるんだ。アムロが無事帰ってくる事を俺も祈ってる』 コウ「うぅっ……」 ブライト『ではしっかりな』 電話が切れた。コウは重圧に押し潰されそうになってしまった。 最悪の事態……アムロ兄さんが帰ってこない? アクシズと一緒に燃え尽きる……と? そんな馬鹿な。そんな……そんなの……。 再び電話が鳴る。ブライトさん? そう思って受話器を取る。 レイン『もしもし、レインよっ』 コウ「レインさん……」 レイン『お願いがあって……デビルガンダムが暴走して、ガンダムファイトが無茶苦茶になってしまたの』 コウ「知ってます、ニュースで見ました。……ドモン兄さんは?」 レイン『分からないの……行方不明で。ガンダムファイターのみんなはデビルガンダムを倒しに行って……人手不足で。 だから、あなた達もガンダムで協力して欲しいの! ドモンを探して……お願い……』 コウ「……すみません、無理です……」 レイン『無理……って、どうして!? ドモンが行方不明なのよ! 早くしないと手遅れになるかもしれない!』 コウ「とてもガンダムを出せられる状況じゃないんです、こっちだって大変なんですよ! 僕だって助けて欲しいんです!」 レイン『もういいわっ! コウ君はやる時はやる奴だってドモンが言っていたのに……もう知らない!』 349 名前:コウの一番長い日 14/18投稿日:2006/02/06(月) 23 23 44 ID ??? 電話が切れた。コウは震えていた……やる時はやる奴と、誰が言ったって? 違う……自分は本当に駄目な男なんだ。この状況で何をしたらいいか分からず、誰かに助けて欲しいと願うばかり。 駄目だ……自分は駄目だ……とても弟達を支えるなんてできない。 助けて……誰か助けて……。 再び電話が鳴る。誰だろうとかまわない、そう思って受話器を取る。 コウ「もしもし……」 シーマ『何て声してんだい、こんな時にさ』 コウ「……シーマさん?」 シーマ『臨時ニュースを見たよ、えらい事になってるじゃないか。アクシズ、デビルガンダム、白の宮殿』 コウ「……ええ。本当に、もう……どうしたらいいか……」 シーマ『何言ってんだい! 兄貴三人がいない今、あんたがしっかりしなくてどうするのさ!』 コウ「駄目なんですよ僕……兄さん達がいないと何もできない。弟達は何か喧嘩しちゃって家出して……。 多分、テレビだって見てないだろうから兄さん達の事も知らないですよ……何て説明すればいいんですか。 説明したところで兄さん達が助かる訳じゃない……兄さん達に何かあったら、僕、とても弟達を支えられません」 シーマ『…………』 コウ「結局僕は……誰の期待にも応えられない。もういっぱいいっぱいなんですよ……」 シーマ『……情けない男だねぇ、あんたは!』 いつもにも増してきつい声はコウを震わせた。 シーマ『兄貴達に弟達を任されたんだろ? やって駄目だったんならともかく、 何もやらないうちからあきらめるなんて……あんたにとって家族はその程度のもんなのかい!』 コウ「違っ……大切だから怖いんじゃないか」 シーマ『違わないね、本当に大切なら絶対に手放すまいと躍起になるもんさ。 家族がバラバラになろうって時に何もしないような奴は、はなっから家族じゃないんだよ!』 350 名前:コウの一番長い日 15/18投稿日:2006/02/06(月) 23 24 33 ID ??? 電話が切れた。コウはゆっくりと受話器を戻し、唇を噛んだ。 臨時ニュースが告げた兄達の事件より、今は、シーマの言葉が重い。 家族じゃないから、家族がバラバラになっても平気? 平気な訳がない。それが家族である何よりの証だ。 だったらどうする? 家族ならどうする? 兄弟ならどうすべきだというんだ? 再び電話が鳴る。自分の中で動き出した何かを感じながら受話器を取る。 コウ「もしもし」 リリ『シローさんのお宅かしら? 私、警察署所長のリリ・ボルジャーノといいます』 コウ「シロー兄さんの状況はどうなったんですか!? テロリストの要求は!?」 リリ『あら、お耳が早いのね』 コウ「臨時ニュースでやってました。壊れたEz-8と、テロリストに捕まったシロー兄さんが映ってたので……」 リリ『シローさんも映ってらしたの? 目ざといのね。テロリストの機械人形って相当お強いみたい』 コウ「シロー兄さんを倒すほどとは……」 リリ『ハリーさんを倒すほどですからね。まあディアナ様が人質に取られていたせいかもしれないけど』 コウ「……人質の状況は分からないんですか?」 リリ『テロリストの検討はついてるけど、交渉は難しそうね。実力行使に踏み切る予定なんだけど……』 コウ「それじゃあ人質が危険にさらされます!」 リリ『交渉にはまず乗ってこないでしょうし、相手の目的はターゲットの殺害よ。 誰を殺して誰を解放するつもりかは知らないけど。 まあ白の宮殿の事は私達に任せておいて、ディアナ・カウンターやギンガナム艦隊だけじゃなく、 警察含め様々な組織で合同救出作戦を行う予定だから』 コウ「それなら僕も……僕もGP-01で手伝わせてください!」 リリ『ご遠慮させていただくわ。機械人形の操縦の腕前はともかく、秒単位の作戦ができる人じゃないと困るもの。 でも安心して、あなたにも機械人形でできる事があるからそれをやってもらおうと思って電話をしたの』 コウ「何でもやります!」 リリ『あなたの弟さん達が町外れで機械人形を使った大喧嘩をしているの。 警察署は白の宮殿テロの他に、アクシズやらデビルガンダムやらで忙しくて手が空いてないのよ。 兄弟なんだから責任持って喧嘩を止めてきなさい。町に被害が出てからじゃ困ります』 コウ「任せてくださいっ」 351 名前:コウの一番長い日 16/18投稿日:2006/02/06(月) 23 26 13 ID ??? リリ『いいお返事ね。あなたは……えっと、ごめんなさい、ご兄弟の数が多くて……お名前は?』 コウ「四男のコウです」 リリ『そう、コウさんね。不思議と初めて聞いたような気がするわ、一度兄弟全員の名前を教えてもらった事があったのに』 コウ「僕は影が薄いですから……」 リリ『そう? ハキハキとした好青年って感じがするけれど。まあいいわ、早く兄弟喧嘩を止めに行ってちょうだい』 コウ「はいっ!」 電話を切ったコウは、さっそくMS格納庫へ駆け込んだ。 残っているMSは四機。アムロ兄さんのRX-78と、ロランのターンAと、自分のGP-01とGP-03だ。 さて、どちらで出撃するか。コウは考える。 デンドロビウムは大気圏内では使えない、ステイメン単機で使うくらいならGP-01の方がいいだろう。 しかしハッキリ言ってしまえば、GP-01で弟達のMSを止めるのは至難だ。 一家にあるガンダムの性能を下から数えるとEz-8、RX-78、GP-01の順になる。 果たしてGP-01で弟達のガンダム八機を止められるか? 絶 対 無 理。 デンドロビウムなら可能性は無くもないが、前述の通り地上じゃ使えない。 コウ「それでも……兄弟喧嘩を止めるしかないんだ!」 卑怯でも何でもかまわない。弟達が誇れる兄でなくてもかまわない。 ブチギレモードの弟達に兄達の事を伝えても、すんなり止まってくれるとは思えない以上、 実力行使をしてでも弟達を連れて帰る。兄弟がバラバラになるなんて事態だけは止めてみせる! そして弟達と一緒に、いや、最悪自分一人でも現在安否不明の兄達の所に駆けつけるのだ。 コウは白い巨人に乗り込み起動させる。 巨人の表情は勇ましくも優しげで、力強かった。 352 名前:コウの一番長い日 17/18投稿日:2006/02/06(月) 23 29 11 ID ??? 町外れの小山に生える木々の上にF91が墜落した。 そこに追撃をかけるべくZガンダムがビームライフルを放つ。 しかしF91は木々を燃やす勢いでスラスターを吹かし回避した。 その横でZZがハイメガキャノンを上空に発射し、ウイングゼロカスタムのツインバスターライフルと激突する。 空中で動きを止めたウイングゼロカスタムを狙ってV2が光の翼を出したまま突進したが、 ストライクフリーダムのフルバーストが放たれたためそれを回避してさらに天へ駆け上って回避。 ストライクフリーダムの背後にデスティニーが現れるも、 流れ弾であるF91のヴェスバーが二機をかすめ機体を揺さぶった。 自分以外全員敵。その特殊な状況が混沌とした戦場を生み出している。 目に入ったガンダムは手当たりしだい攻撃し、協力し合う者など誰一人としていない。 いつ誰が撃破されてもおかしくない。 そしてついに最初の犠牲者が生まれようとしていた。 ハイメガキャノンのせいでパワーダウンしたZZにトドメを刺そうと、 Zガンダムはビームサーベルで接近戦をしていた。 そこにV2のビームライフルが発射される。 ZZに気を取られていたZガンダムに回避は不可能だった、 しかし自分の敗北を拒絶する強烈な思惟がZガンダムからあふれ出しバリアーを形成する。 必殺と思って放ったビームライフルを防がれV2の動きが止まった。 そのV2の周囲をF91の残像が駆けヴェスバーを構える。 どれが本物なのか判別できずV2は対処できずにいた。 ウッソ「うわぁー!」 シーブック「もらったぁー!」 F91はヴェスバーをV2に向けたまま、唐突に体当たりをした。 V2とF91は斜面を転げ落ちる。ヴェスバーを撃っていれば確実に落とせたのに何故とウッソは疑問に思った。 353 名前:コウの一番長い日 18/18投稿日:2006/02/06(月) 23 32 40 ID ??? シーブックもまた困惑していた。ヴェスバーを発射しようとした瞬間、背後から重い衝撃が襲ったのだ。 結果、F91は吹っ飛ばされ、V2に衝突してしまった。 いったい何の攻撃を受けたのか心当たりが無い。 ビーム兵器ではない、かといって実弾兵器でもない。爆音は無かったはずだ。 まるでMSに体当たりをされたような衝撃だった。 F91はV2に追撃を仕掛けるよりも謎の攻撃の正体を確かめるべく振り向いた。 コウ「みんなっ! 喧嘩はやめるんだ!!」 通信機を通しての呼びかけに、兄弟達はコウが来た事を知った。 邪魔者が一人増えた、そう考えてコウの乗るガンダムを見る。 ガンダムの下腹部にコウの姿があった。 ガンダムはトゲのついたハンマーを持っていた。 ガンダムはダンディなヒゲを生やしていた。 コウ「今は兄弟喧嘩なんかしてる時じゃない! 兄さん達が大変な事になってるんだぞ!」 GP-01ではかなわない。 デンドロビウムは使えない。 そこでコウは、すべてのガンダムを相手にできるガンダムに乗ったのだ。 弟ロランのガンダム。 ホワイトドールとも呼ばれる最強のガンダム。 威風堂々とターンAが立っていた。 風は嵐になって駆け抜けようとする。 続く。 361 名前:コウの一番長い日 19/21投稿日:2006/02/10(金) 20 12 37 ID ??? ターンAガンダム。 単機で地球文明を埋葬する月光蝶を搭載する最強のMS。 故に下手な攻撃で月光蝶を呼ばないよう、兄弟喧嘩に参戦した事はなかった。 そのターンAが今、兄弟喧嘩の場に颯爽と現れたのだ。 戦うにせよ戦わないにせよ、ターンAを無視する訳にはいかない。 弟達は一時動きを止め、しかし武器は下ろさぬまま、ターンAに乗るコウへとモニターを向けた。 コウ「みんな聞けぇー! こんな下らない喧嘩をしている場合じゃない!」 カミーユ「そんな物を持ち出して、何しに来たんだ!」 コウ「喧嘩を止めに来たんだ、何が原因でこうなったかは知らないが……こんな大騒ぎするなんて大人気ない!」 ジュドー「自分のガンダムじゃ勝てないからってターンAを持ち出すコウ兄貴こそ大人気ない!」 コウ「それはっ……そんな場合じゃないんだ、話を聞いてくれ」 ウッソ「聞く耳なんてありませんよ、邪魔をするっていうんなら容赦しません!」 コウ「暴走したアクシズの落下を防ぐため、アムロ兄さんがνガンダムでアクシズに行ってしまったんだぞ!」 キラ「それがどうしたんですか。アムロ兄さんなら引き際くらい心得てるでしょ」 コウ「アクシズにはまだ民間人が残ってる! その人達を放っておけるほど薄情な人じゃない! それからドモン兄さんもガンダムファイトの会場をデビルガンダムに襲撃されて行方不明なんだ!」 シーブック「なんとっ……しかし、ドモン兄さんほど丈夫な人間はいない。無事に決まってるだろう!」 コウ「ニュースの映像を見てないからそんな事を言えるんだ! いくらドモン兄さんでも、あれじゃ……。 今すぐ助けに行かないと手遅れになるかもしれないんだぁー!」 ガロード「だったら自分で助けに行けよ、俺達は関係ない。シロー兄さんに頼んで警察に手伝ってもらえばいいだろ」 コウ「白の宮殿がテロにあったんだ! シロー兄さんやディアナ様が人質になってる! 市民も巻き添えになって被害が出てしまっているんだ!」 ヒイロ「テロ……市民に被害が!?」 コウ「どこも人手が足りないんだ。でも僕達がガンダムで手伝えば……」 シン「知らないねっ。兄さん達の事なんか」 コウ「なっ……血のつながった兄が危ないんだぞ!?」 362 名前:コウの一番長い日 20/22投稿日:2006/02/10(金) 20 13 57 ID ??? コウは血が凍るような思いをした。あれほど自分が悩み苦しんだ事件を、何と軽く受け止めているのか。 ブライトさんやレインさんがどれほど……。 ウッソ「血のつながった兄が何だっていうんだ! それだけの理由で毎日顔を合わせて……もう耐えられないよ!」 ガロード「だいたいうちの兄弟は女にだらしない奴が多いんだよ! 俺まで同類に見られちゃたまんないぜ!」 シーブック「一緒くたにするな! そういう思慮の無い馬鹿な弟がいるこっちこそ迷惑をする!」 キラ「やめてよね、モテない男のひがみは見苦しいよ」 コウ「そんな……どうして兄弟同士で傷つけ合うんだ。いったい何が理由でこんな喧嘩を!」 カミーユ「理由なんてもう忘れたね。あえて言うなら今までの鬱憤が爆発したんだろ。 男の意地にかけて負けられないんだ! 兄弟なんて消えてしまえ!」 ヒイロ「俺は……感情で行動すると決めた。今は引けない」 コウ「兄さん達がどうなってもいいのか!? 手遅れになったらどうするんだ!」 シン「知ったこっちゃないねっ。アムロ兄さん達もこいつら同様、もうどうでもいいんだ!」 シンはビームブーメランをキラに向かって投げた。 それを皮切りに、動きを止めていたガンダム達がいっせいに戦闘を再開する。 その光景を見ながら、コウはわなわなと震えていた。 コウ「同じ兄弟じゃないか! 兄さん達が危ないんだ、助けようと思わないのか。 知ったこっちゃないなんて酷い、酷すぎる!」 ウッソ「酷いもんか! 最年少だからってアルを贔屓したりして、僕とたいして歳が違わないのに!」 シーブック「そういう捻くれたものの考え方をする! それが原因だとなぜ気づかない!」 ジュドー「ちょっと早く生まれたからって兄貴面してんじゃねーよ!」 カミーユ「弟は兄の言う事を聞いてりゃいいんだよ! 弟のくせにいきがるな!」 弟達の乗ったガンダムが傷ついていく。心無い言葉で心を傷つけ合っている。 それが悲しい。コウは悲しかった。 363 名前:コウの一番長い日 21/22投稿日:2006/02/10(金) 20 15 09 ID ??? コウ「僕は、俺はもう我慢ならない!」 昂ぶった感情を読み取ったのか、ターンAは両手をいっぱいに広げた。 コウ「みんな……俺は、俺達は兄弟なんだ。兄弟なんだよー!」 誰よりも強い感情の込められた声が、悲しくも勇ましいプレッシャーが、再び弟達の動きを止める。 コウ「俺は兄弟の絆を守りに来た。けど、兄を馬鹿にするような弟と戦う! だけど、弟を見下す兄とも戦う! 兄弟を大事にしない弟とは、俺は誰とでも戦ってやる!!」 コウはコックピットに座った。ターンAの双眸が光る。 ハイパーハンマーを持った手を掲げ、鉄の凶器をブンブンと振り回した。 コウ「全員家に連れて帰る! 連れて帰って、反省させて、俺は兄さん達を助けに行く!」 コウが最初に飛び掛ったのは、一番近くにいたシンのデスティニーだ。 シン「そんな原始的な武器ぃー!」 投げられたハンマーを両手で受け止め、シンは会心の笑みを浮かべた。 渾身の一撃とはいえ、所詮コウ兄さんなんてこの程度の奴だ。 このまま掌部ビーム砲"パルマフィオキーナ"で鉄球を木っ端微塵にしてやる。 しかし、そうするよりも早く――鉄球が火を噴き急速回転を始めた。 シン「えっ!?」 鉄球の回転力に耐えられずデスティニーの手が弾き飛ばされる。 さらにハンマーは炎を噴出する推進力を利用してデスティニーの胴体に直撃した。 機体を揺さぶられたデスティニーはその場に倒れる。 ターンAのハンマーにこういう機能がついている事はみんな知っていた、 だがターンAが戦う事態が滅多に無いため、それを失念してしまっていたのだ。 キラ「このっ……!」 怒ったキラはフルバーストで攻撃するも、ターンAは機体の前面でハンマーを回し防御する。 Iフィールドをまとったハンマーは、ストライクフリーダム最強の攻撃ですら傷ひとつつかない。 コウ「これが黒歴史の力かぁー!」 ハンマーを回したままふくらはぎのスラスターで高速接近するコウ。 無傷のターンAに驚愕したキラは動きを止めてしまっており、回転ハンマーの体当たりに吹っ飛ばされた。 364 名前:コウの一番長い日 22/22投稿日:2006/02/10(金) 20 16 32 ID ??? ガロード「嘘だろ!? あの二人が一瞬で――」 ビームライフルを構えるガンダムDXに気づいたコウは、天高く飛翔した。 照準を合わせるべく、ビームライフルを持ち上げるガロード。 ガンダムDXと、ターンAと、月が一直線に並んだ。 月は夕方でも見える。色は白く、目立たないけれど。 このままビームライフルを撃ったとて、ビームが月まで届くはずもない。しかしガロードはためらってしまった。 ターンAが近づき、月を覆い隠す。 コウ「やぁー!」 ターンAの飛び蹴りがガンダムDXのヒゲをへし折り、尻餅を着かせた。 ガロード「……畜生……」 まだ戦える。しかしガロードはMSを立たせようとはしなかった。 次にF91が肉薄する。 シーブック「ターンタイプといえど、乗っているのがコウ兄さんならーっ!!」 コウ「させるかーっ!」 ハイパーハンマーがF91の胴体を貫く、しかし手ごたえは無かった。 コウ「残像か!? しかし――」 ターンAの左手を前方に突き出して、コウは残像目掛けて突進した。 左手が残像の頭部をすり抜ける、そしてさらに先にある残像へと迫り、その頭部をまた左手がすり抜ける。 それを幾度か繰り返すうちに、残像を残して高速移動するF91にターンAが着実に接近していた。 コウ「ターンAのスラスターなら!」 シーブック「なんとぉー!」 すべての残像を突破して、ターンAの左手がF91の頭部を鷲掴みにする。 そして地面に引っ張り倒すと、背中を向けてふくらはぎのスラスターベーンの発熱で重圧をかけ、 空中でクルリと一回転した勢いのままハイパーハンマーを振り下ろす。 コウ「しまったっ!」 これは会心の一撃だ、そう確信したからこそコウは焦った。 地面に倒れている無防備なF91にこの一撃は強力すぎる。コックピットに直撃してしまう。 シーブック「うわぁっ……あっ!」 死ぬかもしれない、焼き立てのパンを持ったセシリーの微笑みをシーブックは思い出した。 風は吹き荒れる。 続く。 376 名前:コウの一番長い日 23/25投稿日:2006/02/12(日) 16 38 36 ID ??? 遠心力の乗ったハイパーハンマーが、F91のコックピットに迫る。 ハンマーを振るうコウにすら止められない攻撃、シーブックは死の可能性に恐怖した。 しかし――。 響く衝撃音の後、翼のひしゃげたウイングゼロカスタムが吹っ飛ばされ斜面を転げ落ちる。 コウ「ひ……ヒイロ!?」 ヒイロ「感情で行動を――ぐあっ」 ウイングゼロカスタムは木々をなぎ倒す事で勢いを弱め、斜面の中腹で動きを止めた。 シーブック「……何だ、どうなったんだ? Wガンダムがモニターに……ヒイロ?」 F91がゆっくりと起き上がり、自分をかばってくれたヒイロを見つけた。 シーブック「ヒイロ!? どうして、大丈夫なのか!?」 ヒイロ「自爆するよりは、軽い」 無愛想ながらもハッキリした声にシーブックは安堵する。それはコウも同様だった。 コウ「よかった、ヒイロ……シーブックも」 そしてスラスターで減速しながら森に下りると、ターンAの頭部をZガンダムに向けた。 コウ「カミーユ! もうこんな喧嘩は――」 カミーユ「ターンAだからって調子に乗って!」 コウ「ヒイロはシーブックをかばったんだぞー!」 Zガンダムが全身からオーラを放ったかと思うと、手に握られたビームサーベルのビームが巨大化した。 カミーユ「ここからいなくなれぇ!」 咄嗟にハイパーハンマーを回転させて防御するも、カミーユの力によって強化されたビームサーベルは、 ターンAの強力なIフィールドを破りハンマーを破壊した。 コウ「しまった、うわっ」 ギリギリで刀身を回避するも、武器を無くしてしまったターンAは窮地に立たされてしまった。 カミーユ「ふふふふふ、はははははは、ざまあないぜ!」 高笑いしながらカミーユは追撃を仕掛ける。 二度目の斬撃。ターンAを一刀両断しかねないその攻撃は、頭部を焼き切る直前で受け止められた。 コウもまたターンAのビームサーベルを抜いたのだ。 ビームの収束率が桁違いのため、カミーユの念が強化したビームサーベルを見事防ぐ力がある。 377 名前:コウの一番長い日 24/25投稿日:2006/02/12(日) 16 39 48 ID ??? カミーユ「このっ……」 ジュドー「何ちんたらやってんだよ!」 焦れたジュドーもまたビームサーベルを抜き、コウに肉薄する。 ハイメガキャノンの影響でパワーダウンしているとはいえ、動けないターンAを仕留めるくらいはできる。 コウ「何でまだ戦うんだ……兄弟だろ! 俺達は兄弟だろ!」 間に合うはずだったZZの攻撃は、コウの言葉を受けた迷いで一拍遅れてしまった。 それに気づかぬままコウはビームサーベルを横に受け流しつつスラスターで飛び上がった。 コウ「どうして喧嘩をやめないんだー!」 ウッソ「おかしいですよ、コウ兄さん!」 空中からカミーユとジュドーを見下ろすコウの背後にウッソが現れる。 ウッソ「だったら何でコウ兄さんまで喧嘩に参加してるんですか! 喧嘩をやめろと言うならまずコウ兄さんがやめてください!」 光の翼を出して突っ込んでくるV2。 虚を突かれたコウに回避は不可能だった。 光の翼がターンAを背中から切り裂こうとして、弾き飛ばされる。 ターンAの背中から極彩色の光が放出されていた。 兄弟全員が青ざめる。この光は――! コウ「ターンA!? 駄目だ、月光蝶を呼ぶんじゃない!」 まるで溺れたように手足を振り回しながら、ターンAはゆっくりと地面に下りる。月光蝶を発動させたまま。 コウ「くそっ! 止まれ、止まれよぉっ!!」 無茶苦茶にスイッチをいじる、しかし止まらない。黒歴史を呼ぶ最強の兵器の美しい輝きが広がる。 カミーユ「何やってんだよ! だからターンAを持ち出したりなんかしちゃ……」 ウッソ「ぼ、僕は……こんなつもりじゃ。コウ兄さん!」 ジュドー「何とかならないのかよー!?」 コウ「………………ターンAを破壊しろ!」 カミーユ「な、何? ターンAを?」 コウ「壊してでも止めるんだ! ターンAが自動防御しないよう、俺が動きを止める!」 378 名前:コウの一番長い日 25/25投稿日:2006/02/12(日) 16 40 43 ID ??? ウッソ「そんな事をしたらコウ兄さんが!」 コウ「いいんだ、早く! 黒歴史が来るぞ!」 ジュドー「兄弟喧嘩のせいで……世界が滅ぶのか?」 コウ「やれー!」 Zガンダム、ZZ、V2以外の、倒されてしまったMSがいつしか立ち上がっていた。 元々、壊れて動かなくなるほどの攻撃はしていない。 誰か一人でも、ターンAをビームサーベルでぶった斬ってやれば、ターンAは止まるだろう。 しかし……コウはどうなる? ついさっきまで争っていた兄弟達は、誰一人、攻撃をできなかった。 兄弟全員が気づかぬ山の陰からターンAに向けられているビームライフルの銃口も、迷いに震えていた。 ――突然、木々の中からザクⅡ改が現れる。 バーニィ「待ち伏せ作戦成功ぉー!」 ヒートホークをターンA目掛けて振り上げた。 アル「バーニィー! 何か仲直りしそうな雰囲気だから、もう戦わなくていいんだー!」 近くにあった道路の真ん中で、アルが大声で呼びかけていた。 しかしザクⅡ改は無情にもヒートホークを振り下ろし――けれど刃が届く前に月光蝶に巻き込まれてしまった。 アル「バーニィー!」 月光蝶の光にザクⅡ改は破壊され、爆発を起こした。 間近で起きたザクⅡ改の爆発で、ターンAは月光蝶を出している背中で木々をへし折りながら倒れた。 その結果、なぜか月光蝶は止まったのである。 こうしてガンダム兄弟の喧嘩は、バーニィがミンチより酷くなっただけで無事終了する。 その様子を――山の陰から単眼のMSが見つめていた。 助け舟にと思って構えていたビームライフルを使わずに済んだ事を安堵しながら。 柔らかい風が兄弟を包んだ。 続く。 382 名前:コウの一番長い日 26/30投稿日:2006/02/14(火) 21 35 12 ID ??? 月光蝶を止めたターンAは、弟達のガンダム全機を引き連れて自宅へ戻った。 コウ「さあ! これからが本番だ。アクシズのアムロ兄さんとアクシズ在住の人々、 白の宮殿のシロー兄さんとディアナ様をはじめとする要人多数、 デビルガンダムの襲撃を受けたドモン兄さんとガンダムファイト関係者。 大事件連発のためどこも人手不足だ! ゆえに俺達ガンダム兄弟、援護に向かう!」 格納庫の中で高らかに宣言するコウ。まるでガトーのように勇ましく重厚だった。 コウ兄さんってこんな人だっけ? と弟達も驚いている。 コウ「しかし白の宮殿は各組織による合同救出作戦が行われる予定のため、俺達素人が入っても邪魔になる。 そこでアクシズ落下阻止部隊とデビルガンダム討伐兼ドモン兄さん捜索隊を結成する! 異論は!?」 ヒイロ「俺はテロのスペシャリストだ。白の宮殿に行っても邪魔にならない自信がある」 コウ「しかし……」 ヒイロ「幸いリリーナは白の宮殿にいないが、リリーナと関係深い要人もいる……リリーナのためにも俺は行く」 コウ「よし分かった! ヒイロは至急ゲンガナムへ直行してくれ!」 ヒイロ「任務了解」 コウ「カミーユ、ジュドー、シーブック、ウッソはアクシズへ行ってくれ! NTが多い方がνガンダムのサイコフレームにいい影響を与えられるような気がする、 俺はNTじゃないからよく分かんないけど何となくNTってそんな感じかなとか思うし多分上手くいくから! ガロード、キラ、シンは俺と一緒にデビルガンダム討伐だ! 攻撃に特化したMSだからデビルガンダムを倒すにはもってこい。俺もデンドロビウムで宇宙(そら)へ上がる! アルは留守番だ、気絶しているロランの看病を頼んだぞ。男の子なんだからしっかりな」 ガロード「今日のコウ兄さんは一味違うな」 カミーユ「すごいプレッシャーだ……」 シン「普段からこんな感じならアムロ兄さんみたいに尊敬できるかも……」 シーブック「地味キャラポジションを卒業している……?」 キラ「本当、すごいよね」 兄の威厳――求めていた時は得られなかったものが、純粋に兄弟の絆を想って行動したらすぐ手に入った。 コウは自分の行いに酔いながらも、さらなる向上心を持ってより高みへ駆け上ろうとしていた。 383 名前:コウの一番長い日 27/29コウの一番長い日 27/30投稿日:2006/02/14(火) 21 36 17 ID ??? コウ「よぉし! ガンダム兄弟大勝利、希望の未来へレディ・GOだ! みんな、行くぞ!」 ヒイロ「……コウ兄さん」 コウ「ん? まだいたのか。そうかそうか、ヒイロの気持ちよく分かった。兄弟みんなで仲良く出撃したいんだな?」 ヒイロ「翼の調子がよくない。ここまで歩いて来たから気づかなかったが、とても飛んだり走ったりできそうにない」 コウ「……へ?」 ヒイロ「月へは……行けない……」 コウ「……ま、まあヒイロもお留守番という事で。ヒイロが家にいれば外敵は駆除できるし」 シン「マニピュレーターがいかれてて武器を使えないんだけど……」 コウ「は、ハンマーで滅茶苦茶にしちゃったからな……」 キラ「僕もハンマーで吹っ飛ばされたせいで背中の羽が壊れちゃった。これじゃ羽を広げて戦えないよ」 コウ「いや、別に羽を広げなくても戦えるのでは……」 ウッソ「僕の光の翼も微妙な感じなんだけど。これじゃコントロールできない」 コウ「月光蝶の影響かな……コアファイターだけで出撃とかって無理?」 シーブック「F91も何か変だな……破損箇所からナノマシンが入ったか?」 コウ「げ、月光蝶のせいか……」 ジュドー「俺のZZも何か調子悪いぞ。ハイメガキャノンを撃ったとはいえここまで消耗するのは変だ」 コウ「月光蝶のナノマシンにやられたっぽい……ね……」 カミーユ「よく見たらヒイロやキラのMSも月光蝶にやられてるんじゃないか?」 コウ「うっ……そ、そう?」 ガロード「月光蝶の影響かどうか知らないけど、DXの折れたヒゲが勝手に再生してる。ターンAのヒゲの形で」 コウ「月光蝶にそんな機能がー!?」 兄の威厳、失墜寸前。 アル「コウ兄ちゃん」 コウ「今度は何だー!?」 アル「ロラン兄ちゃんが起きてきたよ」 ロラン「やあコウ兄さん、何かあったんですか?」 コウ「ロラン、もう大丈夫なのか!?」 ロラン「ええ。事件も無事解決しましたし」 コウ「……はい?」 384 名前:コウの一番長い日 28/30投稿日:2006/02/14(火) 21 37 31 ID ??? リビングに戻る兄弟達。 テレビ画面には白の宮殿が映っていた。 TV『ではさっそく人質を救出した勇気ある警官にインタビューしてみましょう』 シロー『いやぁ、正直怖かったですよ。生身でマシンガン避けるなんて二度とやりたくないですね。 それに非常に訓練されたテロリストというのに加え、勝利の女神でもついてるような強さでしたから』 TV『勝利の女神ですか。しかしこちらには月の女王様がついてますからね』 シロー『ええ。ディアナ様も銃を持って戦いになられて、自分を含め人質達の士気が上がりました』 TV『そういえば警察や軍隊が人質救出作戦を予定していたらしいですが……』 シロー『作戦実行前に解決してしまって申し訳ない。何せディアナ様がトイ……コホン、 これ以上人質などという辱めを受けてはおれぬとディアナ様が言い出したのが理由で――』 TV『ディアナ様から勲章をもらえるのではと噂がありますが、その辺は?』 シロー『式典のスケジュールにねじ込むって言ってました。多分最終日辺りにもらえるかと。照れるなぁ』 コウ「……シロー兄さん、テロリスト倒しちゃってる……」 ヒイロ「どうやらテロリストは逃げたらしいな。ガンダムタイプのMSで仲間を回収したらしい」 キラ「白の宮殿以外の場所で民間人も人質になってたみたい。金髪の美女が連邦の大佐に救助されたらしいよ」 ウッソ「今確認してみたけど、ネットでも色々情報が流れてるね」 ガロード「テロリストのリーダーが変な名前だな、偽名だろうけど」 ジュドー「わざわざ大騒ぎする必要なかったな」 コウ「……そうだね……」 空気がしらけた。白い目がコウに向けられた。 コウ自身、先ほど弟達をターンAで一蹴したように格好よく兄達を救出に向かう様を妄想していただけに、 ダメージは大きかったりする。 コウ「だがしかし! まだアムロ兄さんとドモン兄さんが……」 385 名前:コウの一番長い日 29/30投稿日:2006/02/14(火) 21 38 58 ID ??? TV『新たな情報が入りました。ガンダムファイト会場を襲ったデビルガンダムですが、 ガンダムファイター達全滅かと思われた直後、瓦礫に埋もれていたシャッフル同盟が自力で脱出し、 華麗なチームワークと燃えるような闘争心を爆発させて、見事デビルガンダムを撃破しました。 ガンダムファイト協会は大会の中止を決定しましたが、シャッフル同盟の五人に勲章を贈るものと……』 コウ「ドモン兄さんも自力で何とかしてる~!?」 シン「やっぱ丈夫だね。セイフティーシャッターなんかに頼らなくても、素でミンチを阻止してる」 シーブック「デビルガンダム撃破シーンが映ってるぞ。残像より分身の方がすごいなぁ……」 キラ「この調子じゃアムロ兄さんも自力で何とかしてるんじゃないの?」 コウ「ま、まさかそんな……」 ロラン「あっ、窓をご覧になってください。空に緑色の光が。あれってアクシズじゃないですか?」 アル「地球から離れて行ってるみたい……」 そして一時間後。 TV『――という訳で、アクシズは勇気ある民間企業の手によって救われたのでした。 その中核をなしたアムロ・レイ氏とシャア・アズナブル氏には、 アクシズ代表マハラジャ・カーン様から勲章が授与されます』 カミーユ「やっぱりこういうオチか」 ジュドー「よくあるパターンだな。あ、ハマーンが映ってる」 アル「ミネバもだ。里帰りしてたのかぁ」 ロラン「ミネバちゃんに親しげに接しているシャアさんを、ハマーンさんが鬼の形相で睨んでましたね」 カミーユ「あの人の事だ、どうせ『ミネバを死なす訳にはいかん!』とか言ってアクシズ止めに行ったんだろ」 シーブック「間違いないな」 キラ「兄さん達も無事だったし、おやつでも食べようよ」 シン「そういえば喧嘩のせいで食べ損ねてたっけ」 ガロード「コーラってもう無い……ん? まだあるじゃん」 ウッソ「あれ? クッキーなんかあったっけ……まあいいや」 カミーユ「コウ兄さんが白くなって動かなくなってるぞ」 ジュドー「ちょうどいいや、コウ兄の分も食っちまおうぜ」 寂しい風が"ひゅるりら~"吹いた。 386 名前:コウの一番長い日 30/30投稿日:2006/02/14(火) 21 40 08 ID ??? コウが立ち直った頃にはもう夕飯時となっていて、ロランがニンジンたっぷりのカレーを作っていた。 ジャガイモとタマネギとマッシュルームと豚肉は美味しいのに、何でニンジンなんか……とコウは落ち込む。 それに追い討ちをかけるように。 カミーユ「ところでコウ兄さん、明日の日曜日暇でしょう? MSの整備しといて下さいよ」 シーブック「派手に壊されたりナノマシンで劣化させられたりして大変なんだからな」 ロラン「もうっ、勝手にターンAを使ったりして……」 コウ「ううっ……わ、分かったよ。整備しとくよぉ」 キラ「悪いけど今晩中にやっといてくれない? 明日、ラクスと一緒にフリーダムでハイキングに行くんだ」 シン「俺も明日、ルナやレイと一緒にMSで遊びに行くんだ。手が壊れてちゃ何もできないから修理しといて」 ヒイロ「明日はリリーナの警護をしなければ。夕食後は下見や下準備をする、ゼロを修理する時間が無い……」 コウ「ええーっ!? 今晩中って……そもそも喧嘩してたのはお前達だろ!」 ガロード「でも壊したのはコウ兄さんじゃん。後から来てターンAなんてズルいぜ。 俺達はすでに戦闘中で消耗してたし、あと実は今、口内炎あるんだよね。痛くて全力出せないよ」 ジュドー「みんな疲れてたし、俺なんかハイメガキャノンのせいでパワーダウンしてたし、実はちょっと風邪気味」 ウッソ「コウ兄さんに負けた訳じゃないから。ターンAの性能のおかげだから。それと僕も軽い腹痛だったし」 アル「最後はバーニィにやられたしね」 コウ「ひぃぃぃっ、泣きっ面に蜂ィー・゚・(ノД`)・゚・」 獅子奮迅の活躍、今日コウがもっとも輝いていた瞬間は、兄弟の間で評価を落としつつあった。 そして夜中まで、日付が変わるまでコウは独り格納庫にこもり兄弟全員のMSを整備していたのだった。 MSについた涙の染みは100を越すかもしれない。 こうして――コウの一番長い日は終わった。 後日談へ続く。 421 名前:コウの一番長い日 31/33投稿日:2006/02/18(土) 20 10 28 ID ??? 翌日の朝、コウはリビングでの騒ぎに目を覚ました。 深夜まで作業をしていたためまだ眠いが、また喧嘩をされてはたまらないと身体に鞭打って歩き出す。 ギンガナム「絶好調である!」 シン「何であんたがここにいるんだー! ゲンガナムはどうしたー! 式典の警護はー!?」 ギンガナム「小生、不覚ながらも負傷した故、療養のため帰ってきたのである。 うむ、やはりこの家のご飯は小生に活力を与えてくれる!! おかわり!」 ロラン「もうっ、今日はギンガナムさんの分を用意して無いんですよ」 キラ「でも全員分あるじゃない」 コウ「おはよう……僕のご飯は?」 ロラン「あっ……」 ギンガナム「目玉焼きには醤油! これが由緒正しき大和魂!」 キラ「目玉焼きにソースどばどば」 シン「あんたの味覚はいったい何なんだー!」 ギンガナム「目玉焼きにソースが合うわきゃねぇぇぇだろぉー! この非国民がぁー!」 カミーユ「うるさいな、朝食くらい静かに食べさせろよ」 シーブック「朝パン主義になればこいつも来なくなるかな……トーストにバターを塗ってさ」 コウ「ねえ、僕のご飯……」 ギンガナム「ニンジンが美味しいのであーる! 美味しい物はみんなで分けるべきだ、コウ君も食べたまえ!」(善意) コウ「ちょっ、生ニンジン出されてもうわバキゴリカリムシャゴックンうげぇー」 ロラン「ギンガナムさん!」 ギンガナム「コウ君といえば、そうそう、これを忘れていた。受け取りたまえ」 コウ「うぅー、ゲホゲホッ。何ですかいったい……手紙?」 ギンガナム「朝刊と一緒に郵便受けに入ってたのであーる!」(善意) ロラン「朝刊を取ってきてたのってギンガナムさんだったんですか!? てっきり兄弟の誰かかと……」 カミーユ「というか朝食だけじゃなく郵便受けまであさってたのかこのおっさん」 ギンガナム「無論すべて未開封で持ってきてるので安心したまえ」(善意) シーブック「勝手に開けたらさすがに犯罪だろうしな」 キラ「というか、普段から不法侵入と窃盗をやってるよね。ご飯代払ってよ」 シン「ところでその手紙、何?」 422 名前:コウの一番長い日 32/33投稿日:2006/02/18(土) 20 11 50 ID ??? コウ「えぇっと……海の見える高級旅館『天使湯』の無料宿泊券……えっ!?」 キラ「『天使湯』って、あの? フグやアワビの海鮮料理が有名な所でしょ?」 シン「露天風呂も豪華らしいよ。美容にもよくて、ルナが行きたがってた」 カミーユ「またシーマさんからか、災難だな。喰われないよう気をつけてけよ」 コウ「でも無料宿泊券、12枚もあるよ?」 シーブック「なんとぉー! 兄弟全員分には足りないが、ここにいるメンバーなら全員行ける!」 ガロード「どういう事だ? シーマさんならコウと二人きりで行くために二枚しか送らないはず……」 ジュドー「むしろこういうのは自分で管理する人だろ。勝手に予約取って勝手に迎えに来てって感じでさ」 言われてコウは思い出す。そういえば昨日、高級旅館に誘われたっけ。 でもあの後うじうじした態度のせいでシーマを怒らせてしまったし……でも海の幸とか露天風呂と言ってたはず。 ロラン「誰が送ってきたんですか? 封筒に書いてあるでしょう」 コウ「ええっと……月刊モビルスーツマニア、プレゼント係……」 カミーユ「応募して見事当選したのか、幸薄いコウ兄さんらしからぬ幸運……」 コウ「こんなの送ったかな? 今まで一度も当たった事が無いから、ハガキ代節約のために、 よっぽどレアな物や高価な物が懸賞に出ない限り応募してないんだけど……」 キラ「『天使湯』の無料宿泊券2ダースは高価だよ。忘れてたんじゃない?」 コウ「う~……そう、なのかな? でもこんな懸賞、あの雑誌には合わないような……」 カミーユ「何はともあれよくやったコウ兄さん」 シーブック「さすが俺達の兄さんだ」 キラ「当然僕達みんなで行くんだよね」 シン「尊敬しちゃうよ」 身に覚えの無い懸賞のおかげで、コウの評価がうなぎ上りとなった。 首を傾げながらも、弟達が喜ぶ様を見てコウは嬉しく思うのだった。 423 名前:コウの一番長い日 33/33投稿日:2006/02/18(土) 20 13 25 ID ??? ガロード「楽しみだなぁ。12枚しかないんだから、兄さん達が帰ってくる前に行っちゃおうぜ」 ジュドー「どうせ兄貴達も遊んでから帰ってくるだろうし。 アクシズにはジャグージだか温泉だかがあるってハマーンが言ってた。絶対入ってくるだろうぜ」 ウッソ「シロー兄さんもゲンガナムでアイナさんとデートするって言ってたような……」 アル「ドモン兄さんもレインさんと一緒にガンダムファイトの疲れを取るんだろうし」 ロラン「兄さん達が帰ってくるのにはまだ時間がありますから、慌てずに行けますね」 コウ「あ、ああ……でも12枚って事は1枚余るよな。…………あ……」 もしかして、とコウは思う。 やっぱりこれはあの人が送って来たんじゃないか。 あの人が行きたがっていた温泉がここじゃないか。 何だかんだで株を落とした自分のために気を利かせてくれたのではないか。 ガンダムAの懸賞という事にしたのはあくまでコウ自身の手柄にするためではないか。 今いる兄弟が11人なのに12枚送ってきた理由は、仲直りを期待して――。 12人目の参加者を、コウは思い描いた。 ギンガナム「海の幸に露天風呂、小生非常に楽しみである!」 コウ「って、行く気満々かギム・ギンガナム!」 後日、高級旅館『天使湯』の露天風呂に兄弟11人とギンガナムが一緒に入っていると、 なぜかギンガナムが何者かに狙撃されて病院送りとなってしまった。 先日白の宮殿でテロ騒ぎがあったばかりなので、御大将ギンガナムを狙った暗殺未遂かと思われたが、 結局犯人は不明のままであった。ちなみに弾丸は女湯から放たれたものらしい。 何となく犯人の正体の予想がついたコウは、その怒りと嫉妬に燃える表情を思い描き、震えた。 そして温泉旅行から帰ってきた翌日、兄三人が帰宅し、シーマやレインとも仲直りして、いつもの一家に戻る。 肩の荷が降りたコウは地味で目立たないポジションに戻ってしまったが、やはりそこが馴染むようであった。 でも、もしまた兄三人がそろって留守するような日があったら――今度はもっと――。 風は一休みして未来に備える。 終わり。 link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ ガンダム一家 コウ・ウラキ 中編
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438 名前:通常の名無しさんの3倍 :2009/12/10(木) 18 38 09 ID ??? 赤い彗星のひと「ブラスターマリ!」 リョウガ「Gの影忍!」 実写シャア「実写ガンダム!」 赤い彗星のひと「そして漫画版アムロが加われば宇宙世紀は最強無敵となるのだ!ぜひ参加し」 アムロ「帰れ!!!!」 ウッソ(よかった、僕は入らないみたいですね) シーブック(あの3つだけでもう十分だろ……)
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P1 浜松は語る P2 今季日程 P3 スタジアム案内 GO TO THE NEXT STAGE...~Yes,we can!~ P1 浜松は語る 6月21日、第27期のリーグ最終戦。既に降格は決まっていたシリウスは、アイテールに1-5で敗れてAリーグを後にした。 あれから約3ヶ月・・・。 それぞれの想いを胸に、今再びAリーグの舞台へとシリウスが帰って来た。 決して楽な道のりではなかった。むしろ波が次々と押し寄せる、地獄の戦い。 16チームに与えられていた枠はたった4つ。 全てのチームが昇格、そして優勝という限られたスペースを目指す。 全ての戦いが、とてつもなく大きく、そして今の自信を生んだ。 7月5日の開幕戦。シリウスのメンバーの誰が勝利を収めると思っていたことか。 現にその時の会議室も「引き分けなら良い方」と悲観する。 だが終わってみればリーシュンの決勝ゴールで3-2と勝利。 その後ももがき、苦しみながら第5節終了時点で3勝2敗。 今のままでは駄目だ。 その想いが結果としてBリーグ2位という結果をもたらした。 その想いが第6節以降負け無しという結果をもたらした。 今季は、「Go to the next stage~Yes,we can!~」のスローガンの元、選手はきっと頑張ってくれるだろう。 いや、そう信じている。 シリウスの今の勢いは、誰にも止めさせない。 とかいっときながら開幕戦でいきなり(俺のせいで)こけそうな気がする浜松がお送りしました。(殴 P2 今季日程 1 9/26 Home ウーラノス 2 9/28 Away アイガイオーン 3 9/30 Home ニュクス 4 10/2 Away アルファケンタウリ 5 10/4 Away アルデバラン 6 10/6 Away プロキオン 7 10/8 Home カペラ 8 10/10 Away アケローン 9 10/12 Home ベガ 10 10/14 Away アイテール 11 10/16 Home エレボス 12 10/18 Away キタイローン 13 10/20 Home マーキュリー 14 10/22 Away アルタイル 15 10/24 Home タルタロス 16 11/1 Away ウーラノス 17 11/3 Home アイガイオーン 18 11/5 Away ニュクス 19 11/7 Home アルファケンタウリ 20 11/9 Home アルデバラン 21 11/11 Home プロキオン 22 11/13 Away カペラ 23 11/15 Home アケローン 24 11/17 Away ベガ 25 11/19 Home アイテール 26 11/21 Away エレボス 27 11/23 Home キタイローン 28 11/25 Away マーキュリー 29 11/27 Home アルタイル 30 11/29 Away タルタロス P3 スタジアム案内 ホームグラウンド セシージャ中央陸上競技場 位置 セシージャ中央区243番通り931 アクセス 車 マッティナータ南北自動車道セシージャI.C.からセシージャ市街方面へ5分 スタジアム バス MRマッティナータ鉄道MRセントラル・セシージャ駅 →直通バス10分 鉄道 →MR東西線5分 MRセシージャ中央陸上競技場前駅 徒歩1分 MRマッティナータ鉄道MRセントラル・ナッティンガム駅 →MR東西線12分
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343 名前:通常の名無しさんの3倍 :2015/04/11(土) 17 14 57.04 ID WCvfydtH0 ヒイロ「………」ボロッ アセム「どうしたんだヒイロ!?ボロボロじゃないか」 ヒイロ「少し五飛と喧嘩して、揉み合いながら大気圏突入した」 シーブック「危ないなぁ」 カミーユ「大気圏突入時にアヤつけられるなんて碌でもないな」 ベルリ「……どうせ僕は一人で大気圏突入できますよ」 ジュドー「いや何当たり前のこといってるのベルリ兄」 ベルリ「お黙りなさい!プルちゃんと一緒に大気圏突入したくせに!!」 ジュドー「はいぃぃ!?」 ベルリ「ルイン先輩はマニィと一緒に大気圏突入して!失敗しても一緒に死ぬならいいって!! 天才さんはニックさんと二人で突入してMSで抱き合ってるし!! 僕だけ一人で寂しく大気圏突入ってどういうこと!GセリフならGアルケインと一緒に大気圏突入できるんですよ!!」 ヒイロ「落ち着け、兄さん。五飛ともみ合って大気圏突入するぐらいなら独りの方がマシだろう」 ベルリ「本当にそうか?本当にそうなのかぁ!? 例えばこういう状況を考えてみるんだよ!!」 【仮想】 デュオ「俺とヒルデが一緒に助かるにはこの方法しかねぇと思う!!」 ヒルデ「うん」 デュオ「失敗したら一緒に死ぬことになる……」 ヒルデ「いいわよ、デュオ!!」 カトル「いきなり実践で三回転半ひねりですよ?」 トロワ「誰が操縦してると思ってるんだ、カトル」 カトル「あはっ……サーカスのピエロさんでしょ?」 だきっ ヒイロ「減速して大気圏内に入るのが精一杯か。俺は何をやっている……」ポツーン ベルリ「こういう状況なんだから!虚しいだけでしょ!!寂しいでしょ、独りは!!」 ヒイロ「待て兄さん、カトルは女じゃない(多分)」 ジュドー(そこ!?確かにそこもおかしいけど!!) ベルリ「僕はオカマの人に偏見はありません!!そういう人はキャピタルにもジット団にもいました!!」 ヒイロ「いやカトルはオカマじゃない」 ベルリ「じゃあ誰がオカマなんだ!」 ヒイロ「オカマなんて俺の知り合いにはどこにもいない!今ある性別を信じてみろ!!」 シーブック(話が斜めの方向に……) シン「ベルリ兄さん……駄目か…」 セイ「駄目だね…」
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ビギナ・ギナVIGNA-GHINA 登場作品 機動戦士ガンダムF91 型式番号 XM-07(XM-07A) 全高 15.8m 重量 8.9t 所属 クロスボーン・バンガード→地球連邦軍 武装 ビーム・ライフルビーム・サーベルビーム・ランチャービーム・シールド 搭乗者 セシリー・フェアチャイルド 【設定】 クロスボーン・バンガードの次世代指揮官用高機動試作型モビルスーツ。 高機動偵察機ダギ・イルスやベルガ・バルスなどをベースにブッホ・エアロダイナミクス社により開発された。 「フィン・ノズル」と呼ばれる、360度に対応したそれぞれ独立して動かすことができる可動式スラスター群を背部に8基搭載し、個々に独立して動かすことにより高い機動力を持つことを可能にしている。 この機体をベースにした系列機として「ビギナ・ギナII(XM-07B)」、「ビギナ・ゼラ(XM-07G)」などが存在する。 またフィン・ノズルの設計思想は後にクロスボーン・ガンダムへと受け継がれていく。 【武装】 ビーム・ライフル 射撃戦用のビーム兵器。 ダギ・イルス用ビーム・ライフルの改修試作型。 ビーム・サーベル 近接戦闘用のビーム兵装。 腰部後方に2基が装備されている。 ビーム・ランチャー 高出力のビーム砲。 本来は地球連邦軍の装備(*1)だが、規格が同じ為、本機でも使用可能。 ビーム・シールド 左腕に装備される防御用ビーム兵装。 【原作の活躍】 セシリー・フェアチャイルドことベラ・ロナに専用機として与えられ、ガンダムF91と交戦するが諸々の事情により、ベラは機体ごと連邦軍に投降する。 敵側を欺くためクロスボーン・バンガードの徽章は塗り潰したが機体コードを変える事無く出撃し、バグやラフレシアと戦うが、その攻撃を受けて大破する。 F91はこの残骸を狙撃することにより、ラフレシア攻略の糸口とした。 【搭乗者】 セシリー・フェアチャイルド CV:冬馬 由美 フロンティア総合学園普通科の学生にして、シーブック・アノーの学友。 パン屋の娘として育てられていたが、実はブッホ・コンツェルン会長マイッツァー・ロナの孫娘にして、クロスボーン・バンガード最高司令官カロッゾ・ロナの娘「ベラ・ロナ」であり、クロスボーン・バンガード襲撃の際に自らの出生を知ることになる。 一時はコスモ・バビロニアの女王として生きていくことを決意するものの、戦場でシーブックと再会したことから離反。 難民船と化したスペースアークの進路を確保するために出撃した際に「バグ」による惨劇に遭遇し、この計画の首謀者である父カロッゾを倒さなければ脱出はできないと感じシーブックとともにラフレシアとの戦闘に突入する。 戦闘中ラフレシアに捕まりカロッゾによって宇宙空間に放り出されるが、ラフレシアを撃破しF91のセンサーとNT能力を駆使したシーブックによって発見され生還する。 この戦いの後、貴族主義を否定する演説を行い、コスモ・バビロニアはその勢力を衰退させていく。 後年では再び「ベラ・ロナ」を名乗り、新生クロスボーン・バンガードを率いて木星帝国との戦いに身を投じていく。 フロンティアIVではパン屋を営んでいたためか、パンを焼く事でストレスを解消するという趣味がある。 【原作名台詞】 【VS.シリーズの活躍】 ガンダムVS.ガンダム コスト1000の射撃寄りの万能機体として登場。 様々な射撃を持つ援護向きの機体で、サブ射撃やアシストによる拘束力も魅力の機体。コスト1000機体だけでなく全機体でも癖の無い素直な機体で、基本を覚える初心者から上級者まで幅広く応えてくれる。欠点は機動性の無さで、全機体でも遅い方になる。 リロードの遅さもネックだが、無駄弾は減らしていくなど、弾数をしっかりと管理することで対処できる。 ちなみにサブ射撃と特殊格闘ではショット・ランサーを用いるが、設定上本機は装備しておらず、ゲームオリジナルである。 ガンダムVSガンダムNEXT 機動力が大幅に強化され、1000コスト機筆頭候補となっている。 爆発力が低く高ダメージを与える攻撃が少ないが、NDの速さと消費BD量の少なさがそれを補って有り余るため前線でも十分戦える。 格闘に関しては封印すべきものは無く、格闘を当てに行きながらも、カットできるような位置取りが重要となる。 武装のバランスが良く、『NEXT』で出来る事を一通りこなせるので1000コスト入門機としても適している。 アシストのベルガ・ギロスも無印でも十分強かったのにNEXTではステップが弱体化した事により相対的に更に強化、全アシスト中屈指の性能を誇り当機の強さの一つとして数えられる。 EXVS.シリーズ ガンダムF91のアシストとして登場。セシリーの台詞が付いており、FBでは勝利ポーズで一緒に登場するようになり、MBでは攻撃パターンが増えるなど、シリーズを重ねるたびに好待遇を受けている。 GUNDAM VERSUS 久々に復活参戦することが判明。 EXVSシリーズのCPU機の挙動(移動しながら撃つ)をほぼ移植した内容となっている。 【勝利・敗北ポーズ】(ガンガン、NEXT) 勝利ポーズ ニュートラルポーズに似た感じだが若干異なり、左手を腰に当てライフルは胸部を隠さず開けている。 敗北ポーズ ニュートラルポーズからライフルを緩やかに右下に振り払い立ち尽くす。 【勝利・敗北ポーズ】(GVS) 勝利ポーズ 通常 右手にビーム・ライフル、左手にビーム・ランチャーを持って構える 覚醒時 右手に持ったビーム・サーベルを振った後、華麗にポーズをとる 敗北ポーズ フィン・ノズルと左脚を失った状態で漂っている 【その他の活躍】 ガンダムビルドファイターズ 11話の第7回ガンプラバトル選手権世界大会予選第2ピリオドでガンダムヴァサーゴ・チェストブレイク、ガンダムエピオン、ガンダムアシュタロン、バンデットと共にガウの中からクロスボーン・バンガード仕様機が登場。 とある理由からリカルド・フェリーニに恨みを持つファイターが使用し、ゲンガオゾとガウも加えて7機がかりでウイングガンダムフェニーチェに襲いかかったが、スタービルドストライクガンダムの乱入に気を取られ機体を向けた瞬間にフェニーチェの肩部ビーム砲で撃墜された。
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439 名前:通常の名無しさんの3倍 :2010/08/17(火) 23 18 02 ID ??? ビルギット「ゼェ…ゼェ…何でこんな急に出番と 襲われる回数が増えってまた来やがった」 その日完全にとばっちりでバグに追われ続けるビルギットが目撃された カロッゾ 「あれ…確かちゃんと処理したはずなんだが」 シーブック「店長、パンの追加焼きあがりましたよ」 カロッゾ 「ああ、そうか…まあ、いいや」
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228 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2007/11/30(金) 05 56 24 ID ??? 変態兄弟なら隠し撮りした写真で交渉するぐらいやってのけそうだ。 シャギア「御飯のお代わりを頼むよ、ファーストニュータイプ」 アムロ「貴様に食わせる飯など……!」 オルバ「おっと、済まない。浮気調査の仕事の写真が……」 シャギア「この男、何ともダラしない下半身だったな。まさに白い悪魔というところか」 オルバ「一週間の内、ホテルに入らない日が無いっていうのはどうなんだろうね、兄さん」 シャギア「月曜日なんかT嬢とデート夕食ベッドインの後にA嬢とも密会してるな」 オルバ「水曜日は“俺は父親代わりなんてできやしない”なんて言いながら、しっかりパパやってるよね」 シャギア「流石はファーストニュータイプと言うところか。三時間前には一緒に寝てた女の兄をミンチにするのも造作もない」 オルバ「でもニュータイプなのに僕たちの存在に気づけないなんて、案外足下がお留守だよね」 シュギア「そのようだな、オルバよ」 アムロ「悔しいけど…ボクは男なんだな……いくらでも食っていけ!!」 シロー「お前達!それは恐喝だぞ!!それに盗撮は…」 シャギア「おっと、これは別件の怪盗キンケドゥの写真だ」 シーブック「なんとぉーーっ!」 シロー「なんだと!」 オルバ「目線、バッチリ頂いちゃってるよね、兄さん」 シロー「お前達、その写真をよこせ!」 シャギア「盗撮は犯罪なのだろう?」 オルバ「地下室はいいけど檻の中はゴメンだよね兄さん」 シロー「ああ!写真を破って……」 シーブック「変態兄弟さん、俺の秋刀魚よかったらどうぞ……」 オルバ「いいのかい?でも一匹だけじゃ兄さんの分が足りないよ」 シャギア「そう言えばオルバよ、さっきの写真は事務所にネガがあったような、なかったような気がするな」 シロー「俺の秋刀魚ももっていけ!!」 ロラン「やめてください、食事の席でそういうことは!アルやシュウトの教育にも……」 シャギア「オルバよ、こっちの写真がキエル嬢でこっちの写真がディアナ嬢だったかな?」 オルバ「逆だよ兄さん。いや、違うかもね。困ったね、これじゃあ撮り直さなきゃ……」 シャギア「ならばこの写真は私達には要らないな。さてどうしたものか……」 ロラン「ゆっくりしていって下さいね!」 ギンガナム「…………」 シャギア「そう言えば、この写真は焼き回しして二枚あったな、オルバよ」 ギンガナム「我が輩の納豆も食べてよいのであーる!」 シン「それ俺の納豆じゃないかぁーーー!!」 オルバ「それじゃあ改めて決を採ろうじゃないか?」 シャギア「私達がガンダム家の食卓に並んで何か不自然でも?」 アムロ「……ない」 シロー「……仕方ない」 シーブック「ですね」 ロラン「二人増えるぐらいじゃないですか」 キラ「構わないじゃない?」(←フレイの動向を調べて貰っている人) ヒイロ「任務了解」(←仕事で協力して貰ってる人) ウッソ「構わないですよ」(←盗撮仲間) ギンガナム「問題ないのであーる!」 シャギア「どうやら過半数を抑えたようだな」 ガロード「そんな勝手な理屈、わかってたまるかーーー!!!」 オルバ「やれやれ心が狭いね、兄さん」 シャギア「全くだ。そんなんだから未だにティファと……む!?」 オルバ「さ、沢ガニの味噌汁……!?」 アル「昨日、ジュドー兄ちゃんと海で取ってきたヤツだよ!」 シャギア「さ、サソリの唐揚げ…ッ!」 ヒイロ「前の任務でいった場所に生息していた」 シャギア「やるな、ガンダム兄弟!!」 オルバ「僕たちに共食いをさせようとするなんてね。今日はここで引き下がるけど、これで終わったと思わないことだね」 ガロード「また飯を食いながら逃走してやがる!」 ロラン「茶碗はしっかり洗って返して下さいよぉーー!!」 link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ オルバ・フロスト ガロード・ラン ガンダム一家 シャギア・フロスト フロスト兄弟 朝食